慌ただしかった12月も終わり新年はのんびりできるかと思っておりましたが、確定申告を間近に控えその準備で再びざわついておりますトリオでございますが皆様はいかがお過ごしでしょうか。
本を読みました。
木下古栗さんの「グローバライズ」
先日の読書会でご紹介くださった方のお話がとても面白そうで、それを聞いていた普段読書しないオモシロガールが思わず購入したというこの「グローバライズ」。
その後しばらく経ってからこのオモシロガールが、「トリオさん、この本の面白さが全然わからなかったんだけど、読んで感想聞かせて。」と来た。
この本を紹介してくれた方は相当の本好きで、かなり幅広いジャンルを網羅しているだけに面白い本だろうと思っていたワタシは、「オモシロガールが理解出来ないんじゃないの~」と言いながらこの本を借りた。
木下古栗さんは全然知らない人で、とりあえず先入観なしに読む。
短編集ですすっと読めるんだけど、1話目からちょっと一癖ある感じがビンビン。
なんというか、独特な奇妙な空気感があってちょっと気味が悪いというか気持ち悪いというか。
例えば最初の話は、会社員の同僚が温泉に入っているシーン。
二人でお互いの家庭の話をしながら頭洗ったりしてるんだけど、ちょっと触ったりするんだよね。
で、「ん?何?もしかしてゲイ?」みたいな緊張感が生まれて、いつゲイが発動するんだろうとある種の嫌悪感を抱きつつ読み進めるんだけど、結局ゲイらしいことは起きず、同僚が風呂場から姿を消して終わるという。それもどうなったのかもよくわからない描写で。
あと別の話で、不動産業の男がトイレでムスコをズボンのチャックで挟んでしまい、脂汗をかきながらどうにかチャックを下ろすんだけど、それと同時に場面がフランスの牧場に写りジェロームが射精するというよくわからない展開があり、斬新なんだけどこれもまたなんとも言えない気味悪さ。
ただ後の話で、眼鏡メーカーの新作発表会の場で女性社員が急に社長に浣腸するんだけど、浣腸と同時にまたフランスでジェロームが射精したときは笑いました。
あと面白かったのは「道」という話。
坊さんが若い女性に道を教えるんだけど、そこから文字がすべて漢字になって、まるでお経のようになるんだけどそれが面白い。お坊さんが自分の過去を淡々とお経のように話す様が見事で、このあたりにこの古栗さんの才能を感じます。
しかし。
結果的に最後の表題作である「グローバライズ」は、もう途中でうんざりして読むのをやめました。
寿司屋の板前が客を惨殺してどうのこうのという話なんだけど、その前の話の「絆」で、下痢の描写や乳首を噛みちぎって食べるみたいな描写で散々気分が悪くなったところでの寿司屋なもんだから「もう無理!」でした。
こういう作品は必ず好きな人と嫌いな人が別れます。
作者自身万人受けを目指した作品ではなく、初めから熱狂的な層を狙っている。と思う。
世の中には才能のある作家はゴマンといる。
その中で抜け出すには、このような奇をてらったアプローチができるのも一つの才能だと思う。
だからこの作品が他の人の作品より優れているとか優れていないとかの話ではなく、単純に好みの問題で僕の好みではなかったということでございます。
まあでも久しぶりにこういった現代小説を読んだので良い経験になりました。
また少しづつ、皆様のオススメを読んでみたいと思います。
ちなみにこの本の中の「専門性」が一番厳しかった。気になる方はケディバシュカンへどうぞ。