穂の国とよはし芸術劇場にて立川志の輔師匠の独演会。6

前回、志の輔師匠のことを書こうと思ってたのに、気が付いたら寅さんの話で終わっておりました。

 

はい、もう師匠の独演会から一週間経ってしまいました。

 

さらっとこれで最後にしますが、師匠の3席目はなんと!

 

 

「柳田格之進」でございました。

 

 

まさかの観たいなあと思っていた演目です。

 

最初に番頭のセリフで「50両」と出たときはグッときました。

 

「タイガー&ドラゴン」の尾美としのりばりに、心の中で「お、柳田格之進だねえ。」とつぶやいておりました。

 

あらすじは、

 

大きな質屋で、そこの主人と浪人、柳田格之進が碁を打っていた。

浪人が帰ったあとに、主人が持っていたはずの50両がなくなった。

番頭は主人にどこへやったのかと問いただすが主人は覚えがない。

「浪人様が盗んだのでは?」番頭は主人に言う。

浪人を信じている主人は番頭を叱り、自分が使ったことにしろと番頭に言いつける。

しかし番頭は面白くない。

主人が長年仕えた自分より、最近知り合った浪人の肩を持つことに。

浪人が取ったと信じている番頭は、あくる日浪人に直接聞こうと主人に内緒で浪人宅を訪ねるが・・・・・

 

とまあこれはかなり序盤でありましてここからまだまだ続くのですが、ほんとにまあ志の輔師匠の迫力と言ったら。

 

気になる方はこちら。

 

 

たった一人で座布団の上で話しているだけなのに、その存在感と言ったらもうどこぞのビッグバンドでも太刀打ちできますまい。

 

とにかく笑わせて、泣かせてくれます。

 

いや、ほんとにこれだけのものを観せられる志の輔師匠、最高です。

 

とにかくいろんな人に観てほしい。

 

というより「体感」して欲しいです。

 

ワタクシも死ぬまでに、なんとか自分の納得できる落語が出来たらと切望しております。

 

 

まだまだ全然なワタクシですが、今年最後の落語は26日。

名古屋の「ストアーインファクトリー」さんです。

 

ぜひぜひお立ち寄りください。

 

穂の国とよはし芸術劇場で立川志の輔師匠の独演会。5

さて、志の輔師匠の独演会。

 

只今VOL.4とだいぶ引っ張ってますが、こういうものは一気に書かないとメモを取っているわけじゃございませんので、いざ続きを書こうと思うと忘れてしまっているという状況に陥るものだということを今まさにこの瞬間に感じているわけでございましてね。

まくらで面白かった話を書こうと思うんですが、面白かったということが残っているだけで、どんな話をしてくれたのか忘れております。

 

というわけで、演目はもちろん覚えておりますので発表です。

2つ目の演目は、「茶の湯」でございました。

 

新作でくるかと思いましたら古典で意外。

 

しかしこの「茶の湯」はyuccoが好きなお噺ですのでナイスなチョイス。

 

 

皆様ご存知、「茶の湯」のあらすじは、

 

息子に家督を譲ったご隠居さん。毎日毎日暇を持て余している。

 

しかし、隠居の身としては風流なことをしたい。

 

ということで、微かな記憶を頼りにお茶を始める。

 

お抹茶ではなくきなこ、茶道具の名前はでたらめ、しまいにはお茶が泡立たないからむくの皮(昔は石鹸に使ってたそうです)を使う始末。

さあ一通りやったら今度は客に振る舞いたくなるもの。

 

こうして描かれる隠居と客のどたばた劇。

 

 

くすぐりも多く楽しいお噺で、志の輔師匠さすがの面白さ。

 

会場は爆笑の嵐でございました。

 

 

と、こうして書いてる間に、師匠のまくらを少し思い出しました。

 

「風流」という言葉は趣がある、というような意味以外に、思いもよらないことが起こったときにも使うというお話でした。

 

お寺の坊主が勢いよく雑巾がけをしている。

壁まで来て方向を変えるとき、ふと柱に足の小指をぶつける。

激しい痛みに顔をしかめながらここで、「風流だなあ。」

 

と、こんなふうに使うようですね。

 

志の輔師匠も、ゴルフのドライバーショットでボールが足元で転がったときは「風流だなあ。」というようにしているそうです。

 

皆様もなにか思いがけない出来事があったときはぜひ、「風流だなあ。」と言ってみてください。

きっと、素敵な気持ちになれると思いますよ。

 

 

人生をポジティブに生きる良いお話でしたね。

 

ではまた。

 

 

つづく。

 

穂の国とよはし芸術劇場で立川志の輔師匠の独演会。4

前回ちょいと別の話をはさんだりしまして。

 

 

前回、志の輔師匠お馴染みの挨拶から始まりましたところ。

 

一発目は落語ではなく、フリートークのような小噺。

やはり面白い。

好きなのは選挙速報の話。

志の輔師匠は枝豆とビールをやりながら選挙速報を見るのが好きなんだそうですが、今では出口調査やなんかでほぼ結果が分かるため開票率5パーセントくらいで結果が発表されたりすることに憤っておりまして。

要するにエンターテイメントとして楽しみたいのだから、早々に答えを出さないでくれと。

そもそも開票率5パーセントでなぜ結果がわかるのか。

残り95パーセントも残ってるんだからわからないじゃないかと。

そのことを数学者の秋山仁さんに言ったらこう言われたそうです。

秋山さん「志の輔さん、あなた大きな鍋にいっぱい味噌汁を作って、味見をするのにどんぶりいっぱい飲みますか?」

師匠「飲まないですね。少しだけです。」

秋山さん「・・・そういうことです。」

いやー、この小噺、過去のまくらでも言っててすごい面白くて好きなんですが、これも聞けたのでもうホントに感激。

面白い話ってのは何度聞いても面白いもんで、落語も何度も同じ噺の同じところで笑えるっていうところがホントにすごいですね。

やはり志の輔師匠は、これだけでなく随所に確実に笑いを取ってきます。さすが。いつまでも聞いていたいのにあっという間も30分。

30分笑わせっぱなし。

いつかワタクシもこんなふうに話せる日を夢見ております。

 

つづく。

穂の国とよはし芸術劇場にて立川志の輔師匠の独演会。3

とりあえず幕が上がるまで、抹茶春師匠と雑談。楽しす。

 

 

そして相変わらず素敵な空間。

2階ですが舞台がよく見えます。

 

去年の演目は、「ディアファミリー」と「しじみ売り」でした。

12月ということで冬のお噺でしたが、今年はなんだろうと想像しながらワクワク。

ワタクシは志の輔師匠の話はなんでも好きなんですが、とりわけホロリとくるお噺が好きなんです。

「紺屋高尾」、「徂徠豆腐」、「浜野矩随」などなど。

そして「柳田格之進」。これも好き。

この中で冬を感じさせる噺は、雪が出てくる「柳田格之進」。

この噺が聴けるといいなあ、と思いながら幕開けを待ちます。

 

そして太鼓が鳴り始める。

 

いよいよ始まるぞという興奮。

 

なんだか太鼓がやたら長く感じる。

 

そしていよいよ幕が・・・・上がったー!

 

そして出囃子が流れる。

 

ん?

 

去年はお弟子さんの「開口一番」で始まりましたが、流れてきた出囃子は志の輔師匠の出囃子ではないのか?

 

「まさか・・いきなり師匠が?いや、そんな馬鹿な。しかしこの出囃子は・・。」

 

 

てなことを考えながら、ドキドキしつつ舞台を凝視。

 

・・・・・・・・・

 

 

で、やっぱり出てきた志の輔師匠ー!

 

なぜー!?嬉しいけどー!

 

まさかのいきなりの登場に興奮。

 

そして高座に上がり座布団に座っていつもの一言。

 

「皆様ようこそおいでくださいました。おいでくださいましたと言ってもワタクシが一番遠いところから来てるんですが・・・」

 

どーんっ!

 

聴けたよまたこの言葉が!これが聴きたくて来てると言ってもいいぐらい待ちわびた一言。

 

これは虎舞竜のライブで、「ロード」のイントロが流れてきたときの感動を凌ぐでしょう。行ったことないけど。

 

どうやら今回はこちらの劇場が5周年で、こけら落としから毎年来てる師匠も5回目。

ということでお祝いの挨拶をするためにお弟子さんには諦めてもらって、師匠が最初に高座にあがったと、こういうわけだったんですねえ。

 

そんなわけで、本来師匠は2回の高座のところ、3回になったんです。

 

ラッキー!

 

この喜びは、喫茶店でアイスコーヒーを頼んだのにホットコーヒーが出てきて「アイス頼んだんですけど」と言ったら、「すぐにアイスお持ちします。あ、この間違えたホットも良かったら飲んでください。」と言われたのを凌ぎます。

 

 

 

続く。

穂の国とよはし芸術劇場にて立川志の輔師匠の独演会。2

NHK受信料の未払いの裁判で最高裁がNHKの主張を認めたということで、テレビが設置してある家庭はきちんと払わないと憲法違反になる、ということでしょう。

こういうことに文句を言ってもしょうがないとはいえ、なんとかならないものかと思いますねえ。

WOWWOWとかみたいに、払ったら観られる、みたいなね。

 

 

 

まあそれは置いといて、志の輔師匠です。

紆余曲折ありつつ現地へ到着。

 

志の輔師匠のポスターが貼ってあるのは去年と同じ。

 

もちろん記念撮影。

 

そして会場へ。

 

空前の落語ブーム、ということで老若男女がわんさか、かと思いきや、老老男女がわんさかでございます。

 

ね。いいんですよ、これで。

 

そう簡単にマジョリティにはなりませんよ、落語は。そこが良い。

 

いやしかしね、これだけのお客さんを呼ぶ志の輔師匠の力がすごいですなあ。

ワタクシもいつかはこんな会場でやってみたいもんです。

 

そして相変わらず調子のいい抹茶春師匠と、美人のMさんと合流。

二人とも志の輔師匠は初めて、ということで、羨ましいですなあ。

だって志の輔師匠を初めて観たときの感動は何事にも変えがたい経験なのですから。

どんなことも「初めて」の感動を越えられないものです。

「初めて」の経験こそ尊い。

志の輔師匠の「初めて」を経験できるなんて!

そこが羨ましい。

 

さあいよいよ指定の席へ。

 

チケットは二枚づつで離れておりますので、ワタクシは落語仲間の抹茶春師匠と。

何も言いませんが、同じ落語家として、志の輔師匠から盗めるものは盗んでやろうとお互い胸に熱いものを秘めていたに違いありません。

 

しばし幕が上がるまで待ちます。

 

 

 

つづく。