岡崎の珍百景、「喫茶 丘」さんに行ってきました。

前回、茶臼山に山登りに行ったことを書きました。

 

その後にご一緒したRさんを岡崎まで送っていったのですが、お昼を一緒に食べましょうということになりおススメのお店をRさんに聞いたのです。

 

ワタクシ一応カフェのオーナーでございますので、何か参考にしたい。

 

岡崎というとオシャレなカフェが多いイメージがあるので、いろいろ名前が挙がるかなあと思ったら、あまり挙がらない。

 

Rさん、カメラが趣味でドライフラワーもお好きという方、オシャレカフェもすっと出てくると思ったので意外でした。

 

そして出てきたのが、「『きっさ おか』はどうですか?」という言葉。

 

え!?「OKA」?それとも「オカ」?岡崎だから「岡」?まさか「丘」ではないでしょう。

 

なにか横文字のカフェの名前が出てくるかと思ったんですが意外にも和風。

 

聞いてみるとカフェというより喫茶店。

 

食事も充実してそうだし、実際ワタクシも本心ではオシャレカフェよりは喫茶店の方が好きなので快諾しましてそこへ向かいます。

 

岡崎市内に入ると、結構な賑わいで「街」という感じです。

 

ワタクシの住む常滑に比べると雲泥の差で街。

 

常滑の人口は5万人強なんですが、岡崎の人口も気になったのでRさんに聞いてみたら「全然知らないですけど、10万人くらいですかねえ」と。

 

その時は、「ですよねえ。街の感じからそれくらいはいますよねえ。」とワタクシも言っていたのですが、帰ってから調べてみたら驚きの38万人でした。

 

岡崎すごい。

 

まあそんなわけで、市営の地下駐車場に車と止めていざ「きっさ おか」へ。

 

涼しくなったとはいえ、まだまだ日差しが強く暑い。

 

眩しさに目を細めながらしばらく歩くと見えてきましたお店の看板。

 

「喫茶 丘」

 

まさかの「丘」

 

「OKA」でもなく、ましてや「岡」でもない、「丘」。

 

 

しかし「丘」の字のカッコいいフォントに気を取られるのもつかの間、目に飛び込んできた衝撃のファサードがこちら。

 

 

侘び寂びを感じさせる和風庭園の演出と、それとはうらはらのオリエンタルな色使い。

 

入り口を飾るアーケードにステンシルっぽい「エッグカレー」の文字。

 

クオリティという概念に囚われない自由奔放さが溢れております。

 

恐る恐るお店に足を踏み入れます。

 

 

まず飛び込んできたのは喫煙所と書かれたテーブル。

 

 

分煙です。

 

分煙されております。

 

今世の中は完全に禁煙の流れ。

 

副流煙の問題はもう到底見過ごすことの出来ない社会問題となっております。

 

しかしなかなか昔ながらの喫茶店で禁煙は難しい。

 

分煙というスタイルをとっている喫茶店でもテーブルを分けるだけで仕切ってはいないところが多い。

 

しかしこの「丘」さんは仕切ってあります。

 

確かにビニールです。

 

普通はガラスですが、確かにビニールではありますが、この「お客様のために喫煙室にしたい」という心意気が素晴らしいではありませんか。

 

クオリティはいいんです。

 

大事なのは心意気なのです。

 

そしてさらに中に入ります。

 

改めて中を見渡してみると、一面の銀世界です。

 

ただ雪景色の銀世界とは少し違う。

 

広瀬香美を歌いたくならない方の銀世界。

 

 

どちらかと言うと宇宙船です。

 

スペイシー、という言葉でしか表現できません。

 

そしてステンドグラスのような装飾。

よく見ると、手作業です。

 

熟練した職人技、ではありません。

 

シルバーの壁紙も、いや、厳密に言えば壁紙ではありません、たぶん断熱シートのようなものを張り付けたものだと思いますが、触るとぶかぶかしてます。

 

すごい。

 

この仕上がりでオッケーが出てしまうところがすごい。

 

クオリティという概念を持つことすら恥ずかしいことなのかもしれないと思わせるほど、迷いを感じないのです。

 

「俺は、俺だから。」という確固たる自信が店内にみなぎっている。

 

メニューはカレーをメインに牛丼、ハンバーグにオムライスetc・・・。

 

Rさんは一押しのエッグカレー。

 

カレーは「クイックメニュー」らしく、どんなお客様の順番よりも優先的に出してくれるそうなので、忙しいビジネスマンには最高です。

 

ワタクシはというと、「ベーコンエッグ定食。」

 

いまだかつて、ベーコンエッグを定食にした人がいるのであろうか。

 

ベーコンエッグといえばパンに合わせた朝食だと思っていたワタクシにとって、お昼の定食にベーコンエッグを持ってくるという発想はありませんでした。

 

ベーコンエッグ=朝食、という固定観念に縛られていた自分を恥じると共に、この自由な発想こそがお店作りに生かされているのだと知り、まだその境地に達していない自分がふがいなく、悔しい気持ちになりました。

 

料理を待つ間も、興味は尽きません。

 

ワタクシは店内を歩き回り、すみずみまで視線を走らせます。

 

 

なぜこの内装になったのか。

 

 

いつからなのか、もともとなのか。

 

 

ターゲットの客層はどこか。

 

興味は尽きません。

 

しばらくすると、料理が運ばれてきたようで女将さんがワタクシに近づいてきます。

 

「料理が冷めるので早く食べなさい」と言われるのかと思ったら違いました。

 

「ベーコンエッグ、しょうゆかソース、どっちが良い?」

 

細かな気配り。

意外な質問に狼狽しながら一言、「しょうゆでお願いします」と伝え席に戻ります。

 

テーブルに着くと美味しそうなベーコンエッグ定食。

 

 

これぞ喫茶店。

 

インスタ映えなどどこ吹く風。

 

卵3個、ベーコン3枚。ごはんに味噌汁という色味のない、大地を思わせるシンプルな盛り付けに、いやがおうにも心は高まります。

 

食べてみると、想像以上でも以下でもない、一般的なベーコンエッグの美味しさが口の中いっぱいに広がります。

 

そう。普通です。

 

普通のベーコンエッグです。

 

でもいいんです。普通で良いんです。

 

喫茶店はこの飾らないところが良いんです。

 

とにかく、美味しかったです。

 

そして食べ終えるとデザートが。

 

女将さんの手作りでしょうか。

 

杏仁豆腐とおぼしきスイーツ。

 

そしてスイーツと同時に一言、「はい、ステッカー」と置いていったのはなんとオリジナルの「丘」ステッカー!

 

完全に手作りです。

 

裏を見ると明らかなマーキングのボールペン跡が。

 

どうです?このサービス精神。

 

ファンを大切にする心意気がすごい。

 

せっせとステッカーを作っている姿を想像するだけで胸熱です。

 

Rさんが銀のステッカーを。

 

ワタクシが金のステッカーをそれぞれいただいて、スイーツをいただきます。

 

甘すぎず固さもちょうどいい。

 

 

 

食後のコーヒーは+200円、人気のクリームソーダは+300円でしたが、コーヒーは別のカフェで飲もうということになり、と言ってクリームソーダは甘すぎるのでスルー。

しかし今となってはクリームソーダは飲んでおくべきだったと後悔しております。

 

そんなわけで、いろんな意味で大満足。

 

これほどの衝撃は受けたことがないというぐらいにインパクトのあるお店です。

 

正直写真では伝わらないもどかしさ。

 

ぜひ皆様も恐れずに訪れてみてください。

 

新しい価値観と想像力をもたらしてくれるでしょう。

 

ぜひ。

 

ちなみにゆっこラジオでめちゃめちゃ熱く喋ってますのでぜひ聴いてみてください。

http://kedibaskan.com/blog/1918.html

いかにして大橋亭トリオはコーヒー屋になったのか。カフェを開きたい方の参考になるかもしれないし、ならないかもしれない。その4。

前回までのあらすじ。

 

栄のおしゃれ美容院に触発された大橋亭はマイホームをDIYすることを熱望。

ついに大須のマンションを購入する・・・

 

 

 

まだ引っ越しは出来ません。

 

最低限、生活出来るレベルまで改装する。

 

当然港区の家賃は発生しつつ大須のローンの返済も始まるためモタモタ出来ません。

無駄な出費を抑えるためスピード勝負。

 

いざDIY 。

 

 

ですが、ちょっと壁を塗装するとかテーブル作るとかそんなもんじゃございません。

 

4LDKの間取りを2LDKに変更し、約30畳のリビングにします。

 

かなり大がかりです。

 

↓解体前

流石に解体は自分達では出来ないのでプロにお願いします。

 

プロは早いですな。

 

↓解体後

 

さあここからが本番です。

 

まずはギャロの部屋から。

 

↓床張り前

↓床張り後

↑結局この床はあまり気に入らず、後から板張りに変えました。

↓キッチンの床張り

↓yuccoも床張り

↓床張り終わって。

↓床張り終わったと思わせて更にその上にテラコッタ張り。by yucco

↓テラコッタ張り終えて業務用シンク設置。

↓そこにステンドグラス。

これは現在のケディにもついてますな。

 

まだまだ改装はつづく。

いかにして大橋亭トリオはコーヒー屋になったのか。カフェを開きたい方の参考になるかもしれないし、ならないかもしれない。その3。

前回までのあらすじ。

 

栄の町を歩いていたら可愛い美容院を発見。

中から出てきた可愛い女性の営業でまんまと予約し、鼻の下をのばしながら髪を切りに行ったら・・・・。

 

 

美容院の中に入ると、スタッフもみんなおしゃれだし、内装も外見同様ぬくもり溢れる素敵な空間。

 

なんというか、体感したことないような感覚で、大橋亭は一瞬にして魅力されてしまったのです。

 

髪を切ってくれる担当の女性に、「素敵なお店ですね」というと、「内装はスタッフで作ったんですよ」という答え。

 

それを聞いた大橋亭はもうびっくり。

 

「こんな素敵な内装、プロじゃなくても出来るんだ・・・」

 

ちょうどその頃は、テレビの「ビフォーアフター」の全盛期。

 

ワタクシたちも、「いつか中古の家を買って匠的な人にリフォームしてもらいたい。」なんて思いながら毎週観ていたのです。

 

しかし。

 

その美容院を見た時に思ったのです。

 

「自分達で出来るかもしれない」と。

 

もともとテレビラックを自作したり、バイクの塗装を自分でやったりと、DIY的なことが好きだった大橋亭が、こういう気持ちになるのも不思議ではなかったのかもしれません。

 

それ以来、「中古の家を買ってDIY!」という気持ちは日に日に高まるばかり。

 

その頃は、結婚して港区の市営住宅住まい。

 

ついに意を決してマイホーム探しを始めます。

 

マンション狙いで見学に。

 

2つ目に見学に行ったのが大須のマンション。

 

100平米もあるのに値段がお手頃。

 

しかも場所が名古屋を代表する観光地の大須。

 

夫婦共々迷いはありませんでした。

 

マイホームという人生の大きなイベントを、2つ目に見学した物件を即決というスピードで終わらせました。

 

こうして一歩、大橋亭はコーヒー屋の道を歩み始めたのでございます。

 

しかしその事はまだ、大橋亭知るよしもございません。

 

つづく。

いかにして大橋亭トリオはコーヒー屋になったのか。カフェを開きたい方の参考になるかもしれないし、ならないかもしれない。その2。

前回のあらすじ。

 

高校を卒業し、冴えない会社員として働く大橋亭。

ツマラナイ日常に苛立ちを覚える、なんてことすらない無知な大橋亭は24歳でyuccoと結婚し、仕事は楽しくないながらも旅行で行った大分の温泉宿の露天風呂で全裸で山に向かって叫んだり、冬ソナで号泣したり、ショッピングにいそしんだりと能天気に日々を過ごしていた。

そしてある日、栄の街をショッピングしながらyuccoとブラブラ歩いていた時に大橋亭の運命を変える小さな小さな出来事が起きるのです・・・・。

 

栄の若宮大通りに程近い道をyuccoとバナナマンの話をしたりしながら歩いていると、ふと可愛らしい外観の建物が目に入ります。

 

周りの洗練された建物とは違う、DIYを楽しむ外国の家のようなぬくもりを感じる佇まい。

 

yuccoと「素敵だねえ」と話していると、その建物の中から一人の女性が駆け寄ってくるではありませんか。

 

「あのう・・・」と話しかけてくるその人。

 

まさか人が出てきて話しかけられるなんて思ってないワタクシたちはちょっと焦りながらも、その人を見て「かわいい」と思っていたに相違ありません。

 

「こっちを見てたので、気になってるのかと思って。良かったら来てください。」

 

と言って渡されたのは美容院のDM。

 

いつもなら、「なんだ!営業かよ!」となるのでしょうが、やはりかわいいというのは武器ですな。

 

10年以上前の話なので細かい内容は覚えておりませんが、「ああ、美容院なんですね!」と言いながら、鼻の下を伸ばして二言三言会話を交わしたと思います。

 

当時は行きつけの美容院もなかったワタクシにとって、オシャレなお店にかわいい店員さんがいる美容院に行かない理由がありません。

 

後日、しっかりと予約を取ってその美容院に行ったのでございます。

 

そう、そしてそれがまさしくワタクシたちの価値観をひっくり返す体験となったのでございます。

 

 

つづく。

いかにして大橋亭トリオはコーヒー屋になったのか。カフェを開きたい方の参考になるかもしれないし、ならないかもしれない。その1。

ワタクシもう42歳でございます。

常滑でケディバシュカンというコーヒー屋を始めて5年が過ぎましたので、脱サラしたのが37歳ですか。

考えてみると、割りと遅い自由業デビューです。

プロ野球で言えば、へたしたら引退してる年ですな。

周りの自由業の方を見ても20代で始めてる人なんてザラにいて、30代後半の人なんかだと、もうベテランの域に達しております。

更に現代は大学生で起業とか、なんならもう高校生で起業するなんて人もいらっしゃる。すごい。

 

もっと早くお店を始めてたら良かったのに、と思ってしまうのですがこれもタイミングで、早くても遅くてもダメだったのでしょう。

 

特にワタクシの場合は若い頃にコーヒー屋になりたいなんて思ってもみなかったわけで、普通にサラリーマンして普通に年取っていくことに何も疑問を持ったりしなかったわけです。

 

ですから今思えば20代から30代前半は、まあ無駄に人生を送っておりました。

 

飲みに行って同僚と会社の愚痴をこぼしてカラオケ行ってね。

 

なんの生産性もない。

 

しかしまあそれで良かったんです。その時は。

 

だって小さな小さな世界で生きていて、世界中どこでも皆おんなじように生きているんだと思ってたから。

 

家と会社の往復しかない。

 

当時はSNSやネットが無かったわけではないけれども、周りにそんなに使ってる人もいなかったしね。

 

だから世の中を知るのはテレビの中。

 

すごい人は芸能人とスポーツ選手くらいしか知らない。

 

ずいぶんと能天気な人生を送ってたわけです。

 

しかし。

 

人生なんてほんの些細なことで動いていくんですな。

 

 

日常にころがる、ほんの些細な変化。

 

そこに乗るか乗らないかで人生は大きく変わる。

 

狭い世界で生きていたワタクシに変化が起きる、小さな小さな出来事。

 

一体それは・・・・。

 

 

つづく。